不安障害を経験した、元TBS局アナ・小島慶子。治療と仕事の両立ができる社会を目指し、活動を広げる。「ときには具合を悪くするメンタルを持って生きているものだという前提で制度を作って安心して戻れるように」

不安障害を経験した、元TBS局アナ・小島慶子。治療と仕事の両立ができる社会を目指し、活動を広げる。「ときには具合を悪くするメンタルを持って生きているものだという前提で制度を作って安心して戻れるように」

3月8日、ヤンセンファーマ株式会社は、国際女性デーに向け、働く女性の治療と仕事の両立支援を推進すべく『治療も仕事もあきらめない女性のためのサステナブル・ワークスタイリング』イベントが行われました。

厚労省の調査では、不妊治療経験者の約半数が仕事との両立は困難であると考え、また治療経験者の3割弱が、両立できずに仕事もしくは不妊治療をやめていることが明らかになっています。

また2019年時点で、がんの治療を受けながら就労している人は36.5万人おり、そのうち女性が21.1万人を占めていることも明らかになっています。

2013年に静岡がんセンターが実施した調査において、乳がん経験者1,275名のうち仕事を継続しているのは50%程度ですが、乳がん経験者の76%は診断時に「何らかの調整をしながらも仕事を続けたい」と考えていました。

これらのことから、治療と仕事の両立は働く女性にとっても重要な課題と言えます。

イベントではエッセイスト・タレントである小島慶子さんが、実際に疾患を抱えながら就労した経験をもとに講演をおこないました。

また、女性の健康をテーマとした上司と部下の対話シミュレーションや、パネルディスカッションがおこなわれ、上司と部下のコミュニケ ーションの重要性、治療しながらでも活躍できる職場づくりをテーマにトークが展開されました。

小島さんは、TBSでのアナウンサー時代に出産をし、その際に不安障害を経験しました。

当時、社内からの反応はいいものではなかったと話します。

「前例が少ない状況での育休から復帰しようとしている、ただでさえ珍しい存在が、そこに精神疾患を持って復帰してきたということで、おそらく職場も困惑したんだと思うんですね」「上長も嫌な人だったとか悪い人だったというよりも、本当に知識とか経験がなかったんだと思います」

不安障害が緩解した後、小島さんは自身の経験をもとに、労働組合で会社と一緒に話し合いながら制度を作る立場へと転身。

「誰でもメンタルの病気にはなりうる。心の弱い人とかいう偏見もあるけれども」「心の病気以外でも誰でも体は変化するから」「ときには具合を悪くするメンタルを持って生きているものだという前提で制度を作って、安心して戻れるように。安心して戻っていいんだという空気が作れるようにしたいですねと言って、制度作りを進めることができました」と、当時を振り返る小島さん。

さらに、「日本が焼け野原から経済大国になる過程では、バリバリ働く上質な労働者、均質な労働者をたくさん必要とした」「いまはそうではなくて、私たちは本当に変化し続ける思うようにならない体を持ち、そして思うようにならない他者との暮らしを生きている」「それを前提とした制度設計」「それをよりハッピーに生きられる、ウェルビーイングの視点で考える風土」「それを前提に人と接するっていう態度、親切な態度。この3つが本当にどこの職場でも当たり前になってほしいと思います」と、会場へ語りかけました。

関連記事

ページ上部へ戻る