役所広司主演、西川美和監督最新作映画『すばらしき世界』が2/11から全国公開となります。
今回、映画でTVプロデューサーを演じた長澤まさみがナレーションを担当した15秒スポット映像2種と本作についてのコメントが解禁されました。
映画は西川美和監督が、初めて実在の人物をモデルとした原案小説をもとに、その舞台を約35年後の現代に置き換え、徹底した取材を通じて脚本・映画化に挑んだ。
生きづらい社会の中で、一度レールを外れても懸命にやり直そうとする実在の男と、彼を追う若きテレビマンのカメラを通して「社会」と「人間」の“今”をえぐる問題作となっている。
長澤が演じるのはTVプロデューサーの吉澤役。 若手テレビマンの津乃田(仲野)に刑務所の受刑者の経歴を事細かに記した台帳「身分帳」を送り、13年ぶりに出所した三上正夫(役所)という人物をテレビ番組のネタとして取材するよう焚きつける。
乗り気ではなかった津乃田は言われるがままに三上に近づき取材を敢行。
三上の密着映像を目にするなり、「もう最高 じゃん・・!」と、様子を伺う津乃田の事は素知らぬふりで不敵な笑みを浮かべる。
三上と対面するや、本音と建前を使い分け 言葉巧みに三上をそそのかそうとする。
そんな場面で吉澤が津乃田へ放つ口撃はなんとも痛烈で、傍観していた私たち観客も 思わずハッとさせられる――。
〝この役には長澤まさみしかいない″と思ったという西川監督は「(長澤さんは)年齢と共にどんどん幅が広くなっている。もちろん、画面的にもナンバーワンの美しさだと思います。きれいな女優さんであればあるほど、なかなかヒール(悪役)役を受け入れることに時間がかかると思うんです。でも今の長澤さんなら、これくらいの悪役は、跳ね返してやってくれるだろうなと思ってお願いしました」と語る。
吉澤というキャラクターについて、西川監督と衣裳合わせの際に人柄や仕事に向かう姿勢などを話したという。
長澤は、西川組、役所の芝居に対する姿勢に触れ、「常に緊張感があり、コツコツと積み重ねる仕事だと改めて思った」「求められているものが、どんどん明確になっていくのが楽しかった」と現場を振り返る。
「台本はのめりこむようにあっという間に読んでしまいました、時代の流れと共に変わっていく人間の感覚について考えさせられましたね。(出所したばかりの三上は)時代錯誤な人に感じられるけど、そういう時が経ったことに気付いていない人はじつは世の中には沢山いると思います。最後はふしぎと心が温かい気持ちになる作品です」と思いをはせた。
また、役所演じる三上、西川作品の男性像について「三上はどこか愛らしくて可愛らしい一面があるので、(観客は)感情移入していけると思います。過激なシーンもあるんですけど、それがクスクス笑えるシーンになるんです。お芝居を重ねるうちに三上の別の顔をもっともっと観たいと思っていました。西川監督の作品に出てくる男性たちは、どこか欠点があって、完璧でない部分が人間らしさにつながっていると思います。」と語っている。
©佐木隆三/2021「すばらしき世界」製作委員会