現在公開中の映画『Arc アーク』の、一流のスタッフと芳根京子さんのストイックさが作り上げた”新しい日本映画”の重要なワンシーンが公開されました。
解禁されたのは、この作品を映像化するにあたって最大の難関であったプラスティネーションのシーン!
最愛の存在を亡くした人々からの依頼を受け、故人やペットを在りし日の姿のまま永久 に保存するボディーワークスの制作の仕事に就く、主人公・リナ。その制作の仕上げとして、顔や手の角度、視線など最終的なポーズを”あやつり人形風の装置”を使って決めるという、今までに誰も見たことがない新しい映像表現に挑んだシーンです。
この映画を手掛けた石川慶監督は、世界的作家のケン・リュウの原作にある、“あやつり人形の製作に少し似ていた”という表現を映像化するにあたり、”舞”の要素を取り入れることを思いつきました。美術チームと振付チームは石川監督の規格外な発注に答 えるべく試行錯誤を重ね、最終的にロケ地となった芸術的価値の高い香川県庁東館のロビーに、そのまま巨大なあやつり人形風のセットを組み立て、ストリングスをクロスさせたり、ターンを入れたりと、視覚的なメリハリを重視したオリジナルの”舞”を作り上げました。
芳根さんはダンス未経験。芳根さんが挑戦する少し前に同じセットで撮影したリナの師であるエマを演じる寺島しのぶさんは、前もって 動画で確認していた”舞”を難なくクリア。それどころか現場で自らアレンジも加えて、完璧なエマ像を体現。 そのエマから地位を引き継ぐリナを演じる芳根さんは「『どうしよう、この後にやるんだ』と思って絶望しました。普段は役として追い詰められていますが、今回は完全に芳根京子が追い詰められて、芳根京子が慌てていました」と撮影を振り返りました。
「自分のレベルの足りなさを感じて、間を見つけてはたくさん練習 をしました」とストイックに語る芳根さんの努力の成果は映像の中で存分に発揮され、一流スタッフたちが作り上げた外国映画のように規格外な舞台を見事に”舞う”ワンシーンが出来上がりました。
このシーンは、儀式を見学していた子どもからの「この会社は人を死なない身体に作り変えようとしているのですか?」という質問に対し、リナが「あなただったらどうしたい?大事なのはそこ、選ぶのはあなた」と未来を生きる子どもたちの可能性を育む返答で締めくくられます。
本作に於ける”リナの選択”が、日々正解のないまま変わりゆく世界を生きるいまの私たちにとっても、新しい一歩を可能性を感じさせます。