世界都市デザインサミットにも招待された小さな町の美の意識とは。真鶴×真鶴イトナミ美術館×つながる森


2016年11月23日 真鶴という街に今注目が集まっている。真鶴町は神奈川県南西部に位置する町で、鶴が羽を広げたような半島の形からその名がつけられた。「生命(いのち)の画家」と言われる中川一政の町立美術館を有し、世界デザイン都市サミットにも招待された「美の基準」というデザインコードを持つなどアートや美しい景観の町としても注目されている。

この「美の基準」というのは場所、格づけ、尺度、調和、材料、装飾と芸術、コミュニティ、眺めという8つの観点から町づくりを定義している。
そしてそれぞれの定義にはキーワードが付けられていて「豊かな植生」「静かな背戸」「終わりの所」「舞い降りる屋根」「覆う緑」「少し見える庭」「小さな人だまり」「さわれる花」という文学的で創造力を掻き立てられるような日本人の感性を感じる言葉が並ぶ。この「美の基準」というのは1993年に制定された「まちづくり条例」であるが、住民に強制させるものではなく、住民の共通のルールとなっている。

そんな世界的に見ても評価された“意識”を持つここ真鶴で現在「真鶴半島イトナミ美術館」と「つながる森」という二つのプロジェクトが進行している。

一つは「真鶴半島イトナミ美術館」というプロジェクトで「生活の営み」自体をアートと捉え、「町全体が美術館」というコンセプトのもと、真鶴町に「文化・芸術・創作の力」で人を呼ぶ新たな流れを創出するプロジェクト。
また「真鶴みんなの家」では真鶴半島活性化を担う真鶴町の若者と、画家・料理研究家・ミュージシャンなど外部の様々なジャンルのアーティストが集まり、寝食を共にしながら創作活動を行い、「ものをつくる営み自体がアート」をテーマに、一般参加型のワークショップを開いた。

二つ目は真鶴「つながる森」プロジェクトで、真鶴半島の「御林」をホームグラウンドに森を歩くネイチャーウォークや、半島で真鶴の海の幸を食べたり、「森のおもちゃ美術館」という国産の木のおもちゃを作ったり、木のぬくもりを感じる体験を親子で開催したり、ムーンロードという月の光が海をに映し出す光の道を写真に撮るというイベントなど森と海とひとがつながるこの真鶴半島で自然と人、人と人がつながる体験型イベントを展開している。

今回この二つのプロジェクトリーダーである博報堂・北川佳孝と「ソトコト」編集長・指出正一による真鶴住民との対話形式のトークセッションが開かれ、真鶴の今後や他のローカル地域との違い、そして真鶴のいいところを見つめ直す場が設けられた。

なぜ真鶴という町は人を引き付けるのか、「美の定義」という日本人独特の感性。それを大切に誇りをもって住む住人の暮らしとライフスタイルそのものがアートだと感じる町だった。

真鶴半島「イトナミ美術館」
http://colocal.jp/news/83169.html

「つながる森」
http://www.tsunagarumori.net

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