『持続可能な食卓 in 山梨』わたしたちが地球と共存していくための“ふたつの取り組み”とは

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11月11日、「おいしい未来へ やまなし」というテーマを掲げ、山梨県の持続可能な食づくりを五感で学ぶ、メディア向けツアーが行われました。

まず私たち一行が向かったのは、山梨県甲斐市にある黒富士農場。

ここでは、”自然と共生する持続可能な畜産”を理念に掲げ、養鶏の卵を生産しています。

標高1100mの山懐に位置する広大な農場で学んだのは、『アニマルウェルフェア(AW)』について。『アニマルウェルフェア』=動物の状態という意味があり、それを向上させる上で重要な指針となるのが、”5つの自由”です。 それは、「不快からの自由」「正常な行動発現の自由」「飢えと渇きからの自由」「痛み・苦痛からの自由」「恐怖や苦悩からの自由」。

そして黒富士農場が、これらの自由を鶏へ与えるため実施しているのが『平飼い放牧』。鶏舎に鶏同士のスペースができるように、鶏の数を減らし、事業の規模を縮小する取り組みがされています。さらに、鶏を広い土地で運動させるため、鶏舎から放牧することもあると言います。

鶏を放牧している養鶏場は、国内でなんと1%未満!従来型ゲージの使用が禁止されているEUを追い、黒富士農場は1991年から徐々に平飼い放牧に飼養を変えていきました。

また、鶏舎に敷かれた土にも工夫が。

黒富士農場 専務取締役である向山一輝さんは、「落ち葉が土になっていく際に発生する菌が、放線菌って言うんですけども、その菌がこの(堆肥)の中にたくさんいます」「ここに三井農林さんの茶殻が入っていまして、茶殻と堆肥を合わせたものを完熟体にしたものがこれ(鶏舎の土)です」「鶏がポッと糞をしても、すぐに分解してくれる」と話し、ツアー参加者一同、匂いのしない鶏舎に驚いていました。

つぎに向かったのは、山梨県南アルプス市にあるワイナリー農園、ドメーヌヒデ。ここでは、『4パーミル・イニシアチブ』という、国内初の取り組みが行われていました。

『4パーミル・イニシアチブ』という取り組みは、1年間で土の中の炭素を0.4%(4/1000)増やすことができれば、人間による二酸化炭素の排出の影響を帳消しにできるというもの。この取り組みは、2015年12月、COP21(国連気象変動枠組条約締結国会議)でフランス政府により提案されました。

『4パーミル・イニシアチブ』を取り入れているワイナリー農園・ドメーヌヒデは、炭化した炭にぶどうの搾りかすを混ぜて肥料するという取り組みも実施。 山梨県 農政部 参事の斉藤修さんは、「去年の春くらいに、こういう世界的な取り組みがあるっていうことで、うちの農政部長が着眼して、ぜひ山梨でやってみようと」「県内、あるいは全国へと広げていきたい」と、意気込みを話しました。

また、ワインに合わせ、山梨県丹波山村のジビエ(狩猟で捕獲した野生鳥獣の肉)処理加工施設から、代表の保坂幸徳さんもツアーに参戦。

保坂さんは、「フルーツだらけなんです、山梨。野生鳥獣たちが、おいしいフルーツを食べて育つわけです。不味いはずがないと。駆除するだけじゃなくて、それを有効活用しようと」と話し、鳥獣害の問題に県と一緒になって取り組む姿勢を見せていました。

山梨県 農政部 技監の武井和人さんは、「ワインを楽しみながら、ジビエも楽しみながら、観光しながら、温暖化抑制にみんなで参加しましょうっていうツアーがこの冬(2021年)からできればいいなと思っています」とコメント。

他県の人々も巻き込みながら、活動を活発化させるため奮闘している山梨県。食の未来が楽しみになるメディアツアーでした。

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